あるある支払調書の誤解 はじめての支払調書

支払調書によくある誤解。税務署には法定調書合計表と一緒に届出ますが、取引先へ支払調書を発行する必要はありません。また法定調書の提出義務は個人、法人というくくりはありません。

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あるある支払調書の誤解

税理士や司法書士、個人事業者やフリーランスに支払った報酬がある場合、
一定の金額以上の場合には、税務署へ届け出る必要があります。

誤解されがちですが、企業や個人に支払調書の発行義務はありません。
法定調書は税務署への提出は必要ですが、業務委託や請負先へ発行するのは義務ではありません。
源泉徴収していようがいまいが、支払調書を交付するかどうかは企業の自由です。

ただし、給与の源泉徴収票は交付する義務があります。
雇用契約がある者への源泉徴収票と支払調書は全くの別物です。

「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の提出範囲と提出枚数(国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxanswer/hotei/7431.htm
ここに各報酬等に対する一定の金額が掲載されております。

はじめての支払調書
はじめての方は、支払調書と聞くと書き方が判らない。
書くのが難しいイメージを受けると思いますが、実際に書くことは単純です。

報酬の記載事項
報酬は、支払った相手先(所在地、名称)と 支払った金額(税込金額、源泉徴収額、支払った名目)
後は、支払者情報(自分の勤めている会社や個人事業の所在地、名称、署番号、整理番号)

これを書けば終わりです。
署番号と整理番号は以前に提出した法定調書合計表の控えなどで確認できます。

不動産の記載事項
不動産も、支払った相手先(所在地、名称)と 支払った金額(税込金額、物件情報)
後は、支払者情報(自分の勤めている会社や個人事業の所在地、名称)

これで終わりです。
家賃、更新料がある場合には、それぞれ区分して記載してください。

法定調書の提出について

税務署には、給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表を使って届出ます。

ここで、もう1つのよくある誤解なのですが、
法定調書の提出義務は法人、個人事業者というくくりはありません。

個人事業者だから出さなくてもいいのでは?
税務署から送られてきていないから提出しなくてもいいのでは?
という意見が出ても何もおかしくないというのが現状……

法定調書の提出義務者(国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxanswer/hotei/7400.htm
不動産の使用料等の支払調書の提出義務が、
法人と不動産業者である個人というのも誤解の要因になっている模様。

年の中途で法人成りをした場合の法定調書の提出(国税庁)
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hotei/1/03.htm
個人事業に係るものについては、個人事業者名で、法人設立後に係るものについては、法人名で提出することとなります。

法定調書合計表が届かない
理由として給与支払事務所の届出を行っていない。
または、源泉徴収義務者ではないということが挙げられます。

源泉徴収義務者とは(国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxanswer/gensen/2502.htm
個人のうち次の二つのいずれかに当てはまる人は、源泉徴収をする必要はありません。
1.常時2人以下のお手伝いさんなどのような家事使用人だけに給与や退職金を支払っている人。
2.給与や退職金の支払がなく、弁護士報酬などの報酬・料金だけを支払っている人。

提出する法定調書がないのに法定調書合計表が届いた場合は、該当なしと記載しましょう。

※給与については税務署の他、市区町村に給与支払報告書を提出します。
※法定調書の作成の際には取引先名簿があると便利、支払先の名称と住所をリスト化しておきましょう。

支払調書がない場合

フリーランスをはじめたばかりの方等は支払調書がない場合、
確定申告をどうすればいいのか悩むと思います。

貰った報酬の総額がどれ位なのか?
源泉徴収はされているのかといった点です。

取引先に聞くのが一番ですが、
協力が得られない場合には、振込金額、税率、源泉徴収義務者か否か、
こういった点を見れば逆算する事が可能です。

税率について
だいたいの業務委託や報酬などは、源泉徴収10%と復興税(源泉税の2.1%、端数切り捨て)
高額になると税率が変わるので注意。

源泉徴収義務者
相手方が人を雇っていない個人のような方で源泉徴収義務者でない場合には源泉0、
法人などの場合には、源泉税が引かれているというのが普通です。

振込金額に端数がない、逆算して中途半端な金額になるようでしたら、
源泉が引かれていない危険性があります。

最後になりましたが、法人へ支払う報酬の場合など、源泉徴収や支払調書の対象とならない物があります。

なにを今更という話ですが……、
税理士に対する報酬からは源泉徴収を行いますが、税理士法人への報酬からは源泉徴収は行いません。
また、行政書士の報酬についても、源泉徴収の義務はありませんし、支払調書の提出義務もありません。
報酬だからといって単純にやるとつい記載してしまう部分です。

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