◆Tax 預金利息の計算方法について
預金利息の計算方法はコロコロ変わります。
税引き後の受取利息から、国税(源泉税)と地方税を逆算して預金利息を出していた頃が懐かしい。
その後、復興税の登場により預金利息、利子の計算が難しくなりました。
復興税は
源泉税の2.1%(50銭以下切り捨て、50銭超切り上げとなります)
※四捨五入ではないため注意。
仕訳を切る際には、源泉税と復興税を分けて計上するようにしましょう。
そして、平成28年1月からは、法人にかかる利子割(地方税5%)がなくなり、
仕訳の手間がちょっと楽になりました。
◆Tax 預金利息の計算例・実際に逆算してみる
預金利息の計算式を説明する前に、実際の計算例を提示しておきます。
平成28年1月以降における預金利息の計算例(法人のみ)
1,000円の税引き後受取利息があった場合、
税額計算の基準となる金額が、1,000÷0.84685=
1,180円(小数点以下切り捨て)
国税+復興税の額は、1,180×0.15315=
180円となります(小数点以下切り捨て)
復興税の部分が、180×2.1÷102.1≒3.70
(50銭超繰り上げにより4円)
国税が、180−4=
176円
以上より、税引前の預金利息は1,000円+4円+176円=
1,180円となります。
※個人の場合、地方税が従前どおり徴収されます。
平成25年1月から平成27年12月における預金利息の計算例
1,000円の税引き後受取利息があった場合、
税額計算の基準となる金額が、1,000÷0.79685=
1,254円(小数点以下切り捨て)
国税+復興税の額は、1,254×0.15315=
192円となります(小数点以下切り捨て)
復興税の部分が、192×2.1÷102.1≒3.94
(50銭超繰り上げにより4円)
国税が、192−4=
188円
地方税が、1,254×0.05=
62円となります(小数点以下切り捨て)
以上より、税引前の預金利息は1,000円+4円+188円+62円=
1,254円となります。
平成24年12月以前における預金利息の計算例
1,000円の税引き後受取利息があった場合、
税額計算の基準となる金額が、1,000÷0.8=
1,250円(小数点以下切り捨て)
国税の額は、1,250×0.15=
187円となります(小数点以下切り捨て)
地方税が、1,250×0.05=
62円となります(小数点以下切り捨て)
以上より、税引前の預金利息は1,000円+187円+62円=
1,249円となります。
※預金利息は1,249円です(1,250円はあくまでも税金を出すためのもの、一致する必要はありません)
◆Tax 預金利息の計算根拠について
1.税額計算の基準となる額=税引き後受取利息÷(1−国税率−復興税率−地方税率)
(小数点以下切り捨て)
2.国税・復興税合計額=基準額×(国税率+復興税率)
(小数点以下切り捨て)
3.復興税の額=(国税・復興税合計額)×2.1÷102.1
(50銭以下切り捨て)
4.国税の額=(国税・復興税合計額)−復興税の額=国税の額
5.地方税の額=基準額×地方税率
(小数点以下切り捨て)
6.税引前の預金利息の算出=税引き後受取利息+国税+復興税+地方税
※この計算式で預金利息の計算を行うことが出来ます。
復興税導入前の年度や地方税が徴収されなくなった年度においては、該当する税率部分を0%として計算。
※東日本大震災による復興予算のため、復興税が導入されました。
税率は所得税額に対し2.1%(平成25年1月1日から平成49年12月31日まで続く予定)
復興税のおかげで預金利息の計算がめんどくさくなりました。
以前は、すべて小数点以下切り捨て、受取利息を0.8で除して国税地方税の税率を乗じればよかったのですが・・・
※復興税の計算以外は、小数点以下を切り捨て処理してください。
※
復興税は50銭以下切り捨て、50銭超え切り上げとなります。
※預金の源泉徴収は、国税税率15%、復興税税率0.315%、地方税税率5%です。
※新生銀行など、一部の銀行では国税等の額が通帳に記載されます。
◆Tax 預金利息の仕訳について
個人・個人事業に関しては、受取利息が10,000円ある場合、
(借方)預金10,000円 / (貸方)事業主借10,000円 「摘要:るるいえ銀行 預金利息」
このような形で仕訳することとなります。
個人の預金利息は源泉分離課税のため、わざわざ逆算して税額を算出する必要性は全くありません。
受取利息から
逆算して税額を出す必要があるのは、法人となります。
※個人の場合において、受取利息全額を振り込んでから税金相当額を引かれているケースでは、
その分を事業主貸 または 事業主借で処理してください。
法人における預金利息の仕訳例
税引き後の利息が1,000円の場合、各年度における仕訳例。
平成28年度 預金利息
(借方)預金1,000円 / (貸方)受取利息1,180円 「摘要:るるいえ銀行 預金利息」
租税公課180円 「摘要:国税176、復興税4」
平成25〜27年度 預金利息
(借方)預金1,000円 / (貸方)受取利息1,254円 「摘要:るるいえ銀行 預金利息」
租税公課254円 「摘要:国税188、復興税4、地方税62」
平成24年度 預金利息
(借方)預金1,000円 / (貸方)受取利息1,249円 「摘要:るるいえ銀行 預金利息」
租税公課249円 「摘要:国税187、地方税62」
※租税公課ではなく法人税・住民税及び事業税の勘定科目に計上しても差し支えありません。
※
税引き後の受取利息が5円なら、国税・復興税・地方税のいずれも0円となります。
税引き後の受取利息が6円になると、国税が1円発生します。
現在は、超低金利時代。
5円以下の利息は珍しくもありません。これを覚えておくと無駄な計算の手間を省けます。
このほか、
地方税付きの計算では130円以下なら復興税は0円。
地方税なしの計算では、138円以下なら復興税は0円となります。
個人・個人事業主における預金利息の仕訳例
(借方)預金1,000円 / (貸方)事業主借1,000円 「摘要:るるいえ銀行 預金利息」
受取利息全額を振り込んでから税金相当額を引かれているケースでは、
(借方)預金1,000円 / (貸方)事業主借1,254円 「摘要:るるいえ銀行 預金利息」
事業主借254円 「摘要:るるいえ銀行 源泉分離課税」
※254円は、事業主貸で処理しても問題ありません。
※
個人事業主の場合、国税・地方税・復興税の計上は不要です。
※普通預金の利息と定期預金の利息の仕訳方法は同じです。
定期預金の場合には、利息部分だけが普通預金に入金され、従前の額を定期預金の額で自動更新する場合があります。
◆Tax 預金利息と税金について
法人の場合、利息の仕訳の際には受取利息、受取金額、国税、復興税、地方税を判るようにします(地方税は平成27年12月まで)
しかし、個人事業主の場合には、借方:受取金額、貸方:受取利息で事足ります。
むしろ、個人の場合には国税、復興税、地方税を計上すべきではありません。
何故かと言うと、法人の確定申告と個人の確定申告は違うからです。
法人は確定申告において利息の税金の数字を扱いますが、
個人にとって、利息の税金は確定申告と無関係(源泉分離課税)
個人・個人事業主にとっての預金利息
1.個人の預金利息は事業所得ではないため、受取利息で処理せず事業主借で処理する。
2.預金は源泉分離課税であり、課税関係は利息入金時に終了している。
預金利息については上記のとおりだが、
個人事業主の場合、配当については税金部分を事業主貸として仕訳することもやぶさかではない。
これは、確定申告の配当控除や配当割額控除額に使用するためだ。
上場株式の配当は、国税15%・復興税0.315%・地方税5%(軽減税率時代は税率が異なります)
未上場配当は、国税20%・復興税0.42%
個人の生命保険料や地震保険料など確定申告で使うような数字は、
確定申告のときに見落とさないよう、単純に事業主貸で処理して終わりではなく、
摘要欄を工夫したり、領収書綴りの1ページに確定申告用書類を集めたりしておく、これの延長である。
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